ここはTQ沿線F子玉川駅徒歩5分


 河原を走る軽快な足音が響く。
 リズミカルで規則正しいそれは、早朝の多摩川では馴染みのものだ。今日も精が出るねえと通りすがりに掛けられた顔見知りの声に軽く会釈して、さらに3キロメートルほど走り込んだところで足音は止んだ。
 膝に手をつき呼吸を整えながら、足音の主――真壁一騎は右手首にはめた時計を見た。
 針が示した時刻は、午前6時15分。

「こんなもんか」

 目線を上げれば本日も快晴。少し前に顔を出した太陽が、藍色だった空を拭い去るように輝き、たなびく雲を赤く染めている。蒼穹を予感させる空の下、きらきらと陽光を反射させる川にかかる橋の上を、ガタンゴトンと音を響かせながら、見慣れた色の電車が横切っていく。朝焼けを背景に進む電車は、どこかのんびりとして微笑ましいが、あと1時間半もすれば、朝の通勤ラッシュがはじまるだろう。

「俺も、そろそろ行かないとな」

 そうひとりごちると、額から流れる汗を首からかけたタオルで拭い、河川敷から道路へと足を向ける。

「もうひとっ走り」

 小さく笑って呟くと、今度は明らかに目的地を定めた足取りで、再び軽やかに駆けだした。


 多摩川にかかる橋を渡り、駅前の大型施設の方角ではなく、まだ静けさが残る二子玉川の住宅地へと抜ける。犬の散歩をしている人、ゴミを捨てに出てきた人など、数人の住民と通りすがりながら、5分強ほどで一騎が辿りついたのは、小さなブロックにあるマンションの前だった。3階建てという小づくりなサイズながら、なかなかしっかりした造りの建物だ。入り口には《カメリア=ベガ》と書かれている。
 一騎は、速度を落とすことなくエントランスをくぐり、階段を一段飛ばしで3階まで駆けあがると、一番南の角にあたる一室の前に立った。
 一つ大きく息を吸い込んで、それから吐く。自然と顔が綻んだ。一騎はこの瞬間が好きだ。たまらなく。
 インターホンを押すか一瞬悩み、まだ7時にならない時間を思い出して、合鍵を探してポケットに手を突っ込んだところで、ガチャリと鍵が外される音がした。ドアノブが下がり、扉が開かれる。その向こうに憮然とした顔で立つ部屋の主に、一騎はにこりと笑いかけた。

「おはよ、総士」


      ***


 朝走り込みを終えた一騎は、基本的に自宅には戻らない。川向こうに住む幼馴染の家に向かい、そこでシャワーを浴びてから一緒に食事をとり、大学に行くというのが基本的なルーティーンワークだ。なお帰るのも総士の家で、一緒に夕飯を済ませたり、軽く家事を終えてから自宅に帰る。
 これを聞く友人たちは、だいたい呆れた顔をする。
 一緒に住めよ、その方が楽だろと口を揃える。だが、一騎も総士も聞き流すだけで、同居の話になることはない。
 毎日総士が同じ空間にいるとか、贅沢すぎて頭が馬鹿になるなと、一騎はこれでも真剣に思っている。

 ――だって、俺が会いにいけばいいし。

 それができるのが嬉しいと思う。
 総士は一度だけ一騎に、一緒に住んでもいいんだと言ってくれたが、一騎の返答を聞いてからはそれきり口に上らせることはしなくなった。
 総士のそういうところが優しくて好きだと、一騎は思う。なんだかんだと一騎の我儘を聞いてくれるところが。
 別々に住むにあたって総士が注文をつけたのは一つだけだ。いわく、総士が住む場所から2キロ圏内であるということ。これを耳にする友人たちは、もはや言葉を失う。勝手にしてくれというわけだ。
 一騎にしてみれば、妥当な距離だと思う。2キロ先に総士がいる。それだけでなんだか元気が出る。実際、一騎は川を挟んで1・5キロほどの場所に手ごろなアパートを見つけた。総士の家までは、一騎の足なら走って5分でたどり着く。
 総士が、今住んでいるマンションを気に入っていることを一騎は知っている。《カメリア =ベガ》という名前のマンションは、総士が自分で探してきたものだ。自他ともに認めるけっこうな兄馬鹿である総士が、その性分をいかんなく発揮した結果だ。ちなみに橋向こうに住む一騎が住むアパートは、《コーポ・アルタイル》という。
 笑えねえと引きつった顔で口を歪ませたのは、幼馴染である剣司だったか。
 彼は、共に島育ちの幼馴染の中で一人だけ離れた大学…千葉の医科大に通っているため、月に一度に行われる島組の会合でしか会うことはない。恋人の咲良は、週末ごとに剣司のところに会いに行っているらしい。
 一騎たちが育った島に大学はないため、専門職につくための資格が必要であったり、専門知識を極めたい場合には、島の外に出るしか道はなかった。先輩たちの多くがそうだったように、一騎の同期たちもみな島を出て、そのほとんどが東京の都心にある大学に通い、そこで生活している。いつかは島に帰るのかもしれないし、あるいは帰らないのかもしれない。
 仲間たちは大体が二十三区内に住んでいるが、総士と一騎だけが都心から外れた場所に家を決めた。一騎は徒歩でも大学に通えるし、総士は電車の乗り継ぎこそあれ、50分ほどで大学キャンパスのある芝公園に着く。駅前まで少し歩けばスーパーも映画館もあるし、それでいて圧迫感がない。落ち着いた川沿いで空が広く、横浜方面にも近い立地を、二人とも気に入っている。
 大学に進学して、早2か月。先日、男子だけで行われた会合で、それぞれのキャンパスライフについての近況報告となったのだが、総士と一騎の住居環境に、誰もが乾いた笑いを零した。
 まあ楽しそうでいいんじゃないと肩をすくめたのが甲洋で、二人とも相変わらず仲良いねえと言ったのが衛だ。
 ちなみに甲洋は、都心大学の歯学部で腕を磨いている。将来は審美歯科で働くつもりらしい。お金が欲しいからというのが、嘘偽りのない甲洋の心だ。さらに片手間に株で儲けているらしく、幼馴染の中でもっとも家賃の高いデザイナーズマンションに住んでいる。ペットも飼えるらしい。衛は、念願だったロボット工学を専攻することができて日々楽しそうだ。ゆくゆくは実家の銭湯に、自分で作ったロボットを番頭として置きたいと夢を語っているが、それを父である保が喜ぶのかどうかは微妙なところだなと同期全員が思っている。掃除ロボットなら感動するかもしれない。
 そんなことを神保町近くの居酒屋で、頼んだ鳥のから揚げをパクつきながらしゃべる中で、剣司は心底呆れたように、総士と一騎に確認をした。

「ええと、つまりなんだ。じゃあ一騎が毎日多摩川の橋を渡って総士に会いに行くのか」
「僕も橋を渡るが」

 暗に、自分だって一騎の家に行くと口を挟んだ総士に、剣司がすかさず突っ込んだ。

「いや、そこはもう問題じゃねえよ。そもそもなんで川を挟んで住んでんだよ」
「だって、家賃が総士の家の方だと高いんだ」

 至極まっとうな理由を述べたつもりの一騎だったが、返ってきたのは白い視線だけだった。

「お前たち、毎日七夕かよ」
「織姫と彦星には謝ったほうがいいね」
「いや、それより俺と咲良に謝れ」
「なんの話だよ…」

 この店の枝豆、ちょっと茹ですぎだなと思いながら、そういえばと一騎は思い出した。
 一度、珍しく多摩川が氾濫しかけ、実際に橋を渡れなくなったことがある。危険水域に達することはなかったものの、交通には制限がかけられた、あの状況はまさに織姫と彦星だったかもしれない。
 とはいえ、文明の利器が存在しているため、一騎は総士に電話をかけ、お互いの状況を確認しあった。川の様子を見に行くと言い出した一騎を総士が必死に止め、その晩はなんとなく電話を繋げたまま寝たのを思い出す。

「だから、一緒に住めって」

 もはや疲れたように繰り返す剣司を前に、それでも一騎は首を傾げて笑うだけだった。


      ***


「もう起きてるなんて珍しいな」
「…まあな」

 勝手知ったる様子で総士の家に上がり込みながら、一騎は感心したように言った。言いながら、おやと首を傾げ、総士の肩に手をかけてぐっと顔を寄せる。反射的にのけぞった顔を眼鏡ごと両手で挟んで、その目を覗き込んだ。
「あ、嘘だな。お前寝てないだろ」
 途端に総士の目が泳ぐ。こういうときばかり素直なのはなんなんだろう。かわいいけど。どうせ少し前までパソコンと取っ組み合っていたに違いない。いつもは涼しげな切れ長の瞳が、少し赤みを帯びてとろりとしている。眼鏡越しでも隠せていなかった。背中で一つに結わえている亜麻色の髪も艶がなく、全体的にモサついている。

「総士、お前さあ…」
「気づいたら朝だった。仕方がない」
「お前、そればっかじゃん」

 呆れたように口にする一騎の手を掴んで顔から離させると、総士は片手でバスルームの方を指した。

「それよりお前は風呂に入ってこい。昨日沸かしたばかりだから、温めなおせばすぐに入れる」
「あ、うん」
「着替えは出しといてやるから」

 さっさと行けと追いやられて、一騎は慌ててバスルームへと足を向けた。
 着ていたランニングシャツやハーフパンツ、下着を脱いで、横に置いてある洗濯機にまとめて放り込む。総士の部屋は、脱衣所と洗面所の横に洗濯機が置けるところが楽でいい。一騎のアパートだと、洗濯機はベランダだ。色物が混ざっていないことを確認して、洗剤を放り込みながら、一騎は小さく笑った。

 ――たぶん、待っててくれたんだよな。

 気づいたら明け方だったのは事実だろうが、もうすぐ一騎が来る時間だとわかっているからそのまま起きていたのだろう。風呂を沸かしてくれていたのも総士の気遣いだ。
 一騎の住むアパートにも風呂はあるが、両足を伸ばせないくらいにサイズが小さい。ときどき風呂にゆっくり浸かりたいなと思うときは、総士の家で入ることにしているが、このところそんな時間がなかった。大学近くに銭湯もあるが、そこにもしばらく行っていないから、存分に手足を伸ばして温かい湯に浸かれるのがありがたい。朝からずいぶんとぜいたくな気分だ。
 なんだか嬉しくなって、一騎は脱衣所からいったん出ると、リビングにいる総士に声をかけた。

「総士、ありがとな」
「…ついでだ」
「あ、洗濯機回したから」
「…ああ」
「お前さ、朝食、パンとごはんどっちがいい」
「今日はパン…」

 ソファに腰かけてiPadに目を落としていた総士が、そこで初めて顔を上げた。振り返って一騎の姿を認め、ぎょっとしたように目を見開く。

「お前、そんなことはどうでもいいから早く入ってこい!」
「わかったわかった、今日はパンな」

 そういや俺素っ裸だったなと思い出して、急いでバスルームへと引っ込む。コックを回せば、すぐに温かいお湯がシャワーヘッドから降り注いだ。湯船のお湯はすでに温かく、一度追い炊きをしてあるのだと知る。
 総士の家の冷蔵庫の中身を思い出しながら、一騎は湯船の中で朝食のメニューを考えることにした。


 六枚切りのパンにバターを塗り、ツナとマヨネーズを合えたものとチーズを乗せてハーブソルトを振って焼いたもの。ブロッコリーとトマトを入れたスパニッシュ風オムレツ。先日、野菜直売所で安く仕入れてきた春キャベツとコーンのサラダに、バルサミコ酢で作った自家製のドレッシング。メープルシロップをかけたヨーグルト。それとコーヒー。コーヒーは一騎がバイトをしている喫茶店で安く購入させてもらっているブレンドだ。もはや定番となっている。
 それらを、用意してもらったティーシャツの上にエプロンをかけ、だが下はボクサーパンツのみという格好で手早く準備しながら、一騎はペロリとドレッシングの味見をして、これいいなと一人頷いた。試しに作ってみたものだが、今度バイト先でも使っていいか聞いてみよう。
 総士は、料理をする一騎の格好に物申したいらしかったが、もはや諦めたらしく、テーブルに着いて静かに朝食を取っている。最初こそ、お前はなんでズボンを履かずにうろつくんだと怒っていたが、だって暑いだろとしか返ってこない不毛なやり取りに、いい加減疲れたらしい。
 お前の前だけだしいいだろと言ったときは、当たり前だ! とそれこそ本気でキレていたが。
 ときどき意趣返しのつもりなのか、調理中にセクハラまがいのことを仕掛けてきたりもするが、徹夜明けの今日はそんな気力もないようだった。とろけて糸を引くチーズと無言で格闘しながらパンを頬ばっている。

「総士、眉間に皺寄ってるぞ」

 跡になるぞ、と言いながら、眉間に向かってテーブル越しに指を伸ばす。もみほぐすようにぐりぐりと押しているとハアァと大きなため息が漏らされた。

「お前、大丈夫か」

 もしかして、研究が行き詰まっているんだろうかと首をかしげる。総士の専門は薬学だが、臨床薬学がどうとかで、一騎にはあまりにも縁遠い分野だ。図と数字と英文が大量に印字された紙を何度か片付けたことがあるが、見ただけでそのまま宇宙に飛んでいけそうな気分になった。

「今、そんなに難しいことやってんのか」
「まあな…」
「へえ?」

 多分聞いてもわかんないだろうなと思いながらマグカップに口をつけると、総士が口を開いた。

「どうしたら、お前が僕なしではいられない身体になるのか考えてた」
「…ぶっ」

 思わずコーヒーを吹き出しかけた。ゲッホゲホと咳きこみながら胸を叩く。

「は? え? なんだ?」

 ――なにを言い出したんだ、こいつ。

 寝ぼけているのかと思って顔を見れば、総士の顔はいたって真面目そのもので、余計に心配になる。

「研究のことじゃないのか」
「研究だ。お前は僕の研究課題だからな」

 人生の、と付け加えられて目を白黒させる。

 ――こいつ、俺を研究したいのか? どういう?

 そういえば、俺の身体触ってるときやたら楽しそうだもんなと、夜のあれこれを思い出して、妙な納得をしてしまった。あれも研究の一環なんだろうか。総士が楽しければそれでいいし、総士が楽しいと一騎もうれしいから、特に疑問を呈したことはないが。

 ――総士なしじゃいられない、か。

 今でも十分そうだけどなあと一騎は思う。
 もしかして、朝まで一緒にいないこととか、そういうのが割と不満なのかもしれない。夜は自分の家で寝ると決めている一騎は、夕飯を食べたら家に戻るし、セックスをした時でさえそうだ。終わったらシャワーを浴びて帰る。それが夜中であってもだ。
 この話になったときも、お前には余韻とかそういうもんがないのかよと、剣司に全力で突っ込まれたが。

『だって、家近いしな』
『そういうことじゃねえし。余韻とか、ムードとかさあ』
『よいん…むーど…』
『おいマジかよ…。総士さあ…お前の趣味ってちょっと大概だよな…』
『…僕の好みに文句があるのか剣司』
『総士の趣味? 普通だろ』
『あーめんどくさい、お前らめんどくさい!』

 あのときは、なんだか剣司がわぁわぁ言っているうちに話が終わってしまったけれど、一度だけ総士にふてくされたように言われたことがある。

『お前が家に帰れないように、ベッドに鎖で繋いでおこうかと思った』

 あれは冗談だと思っていたが、案外冗談ではなかったのかもしれない。
 だが待て、それは犯罪だろう。一騎は大切な幼馴染を犯罪者にしたくはない。いや、一騎が合意すれば犯罪にはならないし、きっと自分は合意してしまうのだろうけど。
 ぐるぐると考えながら、コーヒーの最後の一口を飲み干し、一騎はなんとか口にした。

「その…お手柔らかにな…」
「遅れるぞ」

 ふんと小さく鼻を鳴らして、総士が時計を示す。気づけば、家を出る時間の15分前だった。


      ***


 総士は午後に授業が一つ入っているだけだから、これから少し寝るらしい。洗濯ものは干しておくという総士にそれだけ任せることにし、洗い物を済ませて大学に行く準備をする。財布も授業の道具も総士の家に置いたままだから、家に戻る必要もない。
 やはり置きっぱなしにしている通学用の普段着に着替え、玄関に座って靴を履きながら、確かになんで俺たち一緒に住んでないんだろうなあと、ちょっとおかしくなる。

「なあ、総士」

 見送ってくれるつもりらしい総士に背中越しに呼びかける。

「俺さ、やっぱお前と住んだほうがいいのかな」

 総士が小さく息を飲む気配があった。
 そのほうがいいんだろうか。総士はどうなんだろうか。
 一騎は、総士のそばにいられたらそれでいい。でも、これ以上総士の近くにいたら、完全にダメになりそうな気がする。なにがというか、全部。そう、全部だ。今だって、はたから見ればこれ以上ないくらい近いところにいるのだろうけれど、それでもまだ駄目なのだと、ストップをかける心があるのだ。

「…僕は、」

 総士はいったん口を切ってから続けた。

「僕は、お前が好きなようにすればいいと思う」

 優しい声だった。たぶん、少し笑っているのだろうと思う。一騎の好きな声だった。こうして一騎を許してくれる。そばにいさせてくれる。ああ、総士が好きだなあと思う。

 ――今日の夕飯も、美味いもんつくろう。

 何が食べたいかは、帰りに待ち合わせてスーパーに寄るときに、聞けばいいだろう。
 靴を履き終わって立ち上がりながら、振り返る。そこにはいつもの総士がいる。一見ちょっとぶっきらぼうでとっつきにくく見えるけれど、不器用なだけの優しい幼馴染。

「…授業終わったら連絡入れるな」
「ああ」
「待ち合わせ、三茶でいいか」
「ああ」

 またあとでなと告げて、横に置いていたバッグを肩に引っ掛ける。

「行ってきます」

 挨拶と同時に総士の腕を掴み、引き寄せてぶつけるようなキスを送ってから、一騎は外へと飛び出した。


 ここはTQ沿線F子玉川駅徒歩5分。
 そして、君の家まで走って5分。


- end -



************


皆城式プロポーズ:

『お前を生涯僕の研究分野にしたい』

甲洋「ないな」
操「ひく」
一騎「お前、一生勉強するなんてすごいな」


没。


《とくに必要のない裏?設定》

※皆城くんと一騎くん 付き合ってるけどとくに一緒に住んではいない。

※皆城くん
K應大学薬学部臨床薬学専攻。
3階立てマンションの3階に住んでいる。1LDK。洋室。
電車通学だが、電車が遅れたときなど、一騎くんがバイクで送ってくれる。
乗換駅まででいいと言っても大学まで連れて行ってくれる。(地味に目立つ)
ちなみにバイクは、皆城くんのものとして皆城くん家のマンションに置いてある。スペースと屋根があるから。
一騎くんとの待ち合わせは大体三茶。おおむねTUTAYA。気になる映画を一緒に選んで、週末一緒に観る。
引っ越してきた当初は、近辺のゲーセンにも顔を出していたが、一騎くんと一緒にうっかり「ハシャギすぎた」(甲洋談)ため、二人とも自主的出禁状態。
基本は一騎くんが皆城くん宅に顔を出すが、冬になると逆転する。
皆城くんがコタツを出す主義ではないので、コタツのある一騎くん家に入り浸る。そして帰らない。
甲洋も操ちゃんも来るので、冬の一騎くん家の密度はひどい。その場合だいたい鍋を食べる。
妹たちが東京に来るたびに、SンリオPューロランドに連行されている。
海外留学経験あり。帰国子女。
このあたりのあれこれで一時期一騎くんと縁遠かった。
一騎くんが同居したがらない根っこの理由を察しているが、今のところ特に何か言うつもりはない。

※一騎くん
K澤大学文学部心理学科。スポーツ推薦。
大学までは徒歩で通うが、雨の日などは電車。最近二輪の免許を取った。
毎朝、多摩川河川敷をランニング。
普通に走れば5分ほどで皆城くん家に着くが、ガチで走ると3分半でたどり着く。
海や山が見たくなると、皆城くんと一緒に電車かバイクで横浜や鎌倉まで行く。
渋谷界隈にはほとんど行かない。
出先でおいしいものを見つけるのが好き。→家で作る。
三茶にあるカフェでたまにバイトもしている。
(※オーナーは溝口さんの知り合い。元島民)
入学時に史彦に買ってもらった白いガラケーを持っている。
ほぼ初期設定のまま。アドレスは友人たちに入れてもらったもののみ。
よく家に忘れるので、一騎くんあての連絡はすべて皆城くんあてに送られる。総士「解せない」
高校の時、病気で一度死にかけた。そんなこんなで皆城くんとあれこれあった。今は元気。
月一で、両親から仕送りが届く。史彦の新作茶碗つき。
皆城くんと同居したくない理由はなんとなく。とくに自覚はない。
あえていうなら、皆城くん家のキッチンがIHクッキングヒーターで三ツ口コンロじゃないところ。
言ったら気にして直しそうだから言わない。


派生組
※甲洋と操ちゃん  とくにCPでも友達でもないけど、なぜか一緒に住んでいる。

※甲洋
I科歯科大学歯学部。将来は審美歯科。ある程度お金がたまったらゆくゆくは島に帰る予定。
御茶ノ水周辺が活動圏内。楽器屋や飲食店に出没。
都内の交通網交通料金はすべて脳内に叩き込まれている。
仲間内で一人だけデザイナーズマンションに住んでいる。2LDK。
ある日操ちゃんが家に転がり込んできた。以降、住み着かれている。

甲「引き取りにきてくれ」
皆「無理だ、部屋がない」
真「甲洋のうちにいたのか? じゃあ安心だな」
甲「おい、今後ろで聞こえた一騎の言葉を訂正させろ」
真「今度カレー差し入れに行くって伝えてくれ」
皆「…だそうだ」
甲「もういい。着払いで送る」
操「どういうこと!!?」

ロードバイクを所持しており、遠出や教室移動に使用しているが、
時々無断で操ちゃんが拝借していく。あるとき一週間も帰ってこなかった。
のちに箱根にまで行っていたことが判明。
操ちゃんと二人で、都内の立ち食い蕎麦屋を制覇しているらしい。

※操ちゃん
ニート。ニートオブニート。
皆城くんの親戚。昔から島によく遊びに来ていた。
総士たちにあわせて、自分も!と進学を決める。底辺私立大学に滑り込みで合格。
そのまま大学生活をスタートさせるかと思いきや、突如失踪。
三か月後にふらっと戻ってきたときには、学籍も家もお金も無くなっていた。
「俺は空を見に行っただけなのに!!」
そのまま甲洋の家に転がり込み、当たり前のように居つく。
だがとくに生産性のあることは何もしない。ゲームをして動画を見てたまにどこかに出かけている。
財布はもちろんない。甲洋が財布。(不本意)
甲洋と喧嘩をすると一騎の家までやってくるが、夜になるとちゃんと甲洋の家に帰る。

「甲洋ただいまー」
「ここはお前の家じゃないんだけど」
「でもただいまーー」
「」

一騎の家までは、J保町からH蔵門線を使えば一本のため、操ちゃんでも迷わない。
ただ地下鉄は空が見えないので、あまり得意ではない。
よく知らない人と友達になったり何かをもらったりしている。
操ちゃんの携帯は、美羽ちゃんと同じ型の子供ケータイ。
登録電話は①甲洋②総士③一騎 以上。
だがよくどこかに忘れる。(無意味)


※真矢 R教女学院短期大学現代コミュニケーション学科
K祥寺とM鷹の間に住んでる。C央線使い。
週末はよく一人で山に登りに行っている。長期連休には連泊で北アルプスを制覇しにいった。
山を登った先で買ったお土産をよく持ってくる。
一騎がバイトするカフェにもときどき顔を出す。
翔子と一緒に焼き肉を食べに行ったりもする。(通称、肉女子の会)


※翔子 J智大学外国語学部英語学科
Yツ谷周辺に住んでる。H藏門線が便利。
幼い頃から先天性の持病を抱えていたが今は元気に東京で一人暮らし。
一騎の試合の応援にも行く。
大学のミスコンに推薦されたが辞退。
ときどき甲洋に誘われて神宮外苑のイチョウ並木を歩いている。

※剣司 C葉大学医学部
最寄駅はS武線C葉駅。
一人だけ東京じゃない場所へ進学。
週末は咲良が泊まりに来る。
二人で近辺の工場見学にはまり、デートでほぼ制覇した。
月一の島っ子飲み会のときには、工場土産かピーナッツパイを持ってくる。

※衛 D通大Ⅱ類
ロボコン参加予定。
C布住まい。都心へはK王線&S宿線。

※咲良 N本女子大家政学部児童学科
最寄り駅はG国寺。Y楽町線を多用。

※蔵前 O茶の水女子大学文教育学部
咲良と一番住んでる場所が近い。

カノンは来年度都内進学予定。大学の下見も兼ねて、ときどき皆に会いに来る。


卒業後、島に帰る組と帰らない組でわかれたり。
その他いろいろあったりなかったり。
島っ子会合で落ち合う場所はほぼJ保町。大体みんな一本か乗り換え一回で来られる。



2016/07/17 pixiv up
幻蒼#3で頒布した無配ペーパーの再録。
その後、完結編までを文庫本で同人誌として発行しました。同一設定のイギリス旅行編もオフにて発行。
プライベッターで、イギリス旅行編の設定と地図を公開しています。
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